街中でも星を見たい

――星空を自分の手元に。曇りでも雨でもへっちゃらさ!

 1    ステラリウムで星空を眺める
2005/05/07
●フランスの天文サイトが提供している星座ソフト《ステラリウム》で日夜星空を楽しんでいる。日夜といっても、昼間はとうぜん太陽だけ(昼間の星座や惑星の位置はわかるし、その時間の夜空にすることも可)。星空に関心がおありの向きは一度試してみる価値がありそう。実はこのソフト、絶好の〈スクリーンセーバー〉の役目も果たすのがミソ!
*configurationパネルの中のatmosphere(大気)ボタンをオフにすることで昼間の空の星空を再現できる。つまり、昼間であろうとも,地球上に大気がなければ〈夜空〉が見えるという当然の理屈に忠実な科学ソフトなのである。
 
●ステラリウムは以下のサイトから無料でダウンロードできる。Win,Mac,UNIX,Linux、いずれのバージョンも用意されている。私の場合は、MacOSX版をアップル専用17インチのスタジオ・ディスプレーで眺めている。OSXv10.4Tigerでも動作確認済み。
URL=http://stellarium.free.fr/
*Win版もMac版もインストール時の初期設定が低解像度の画面表示になっているので、自分のコンピュータのディスプレーの解像度に合わせる必要がある。これもconfiguration textの書き換えで可能。1600×1000まで表示できるようになっている。
 
●日本語版をダウンロードすれば、JST(日本標準時)がデフォールトで表示される。Location textを書き換えれば世界中の都市の夜空を設定できる。星座や恒星の名前がラテン語表記になっているなど、愛想が良くない面もあるけれど、その分エキゾティックな感じもする。星座名をラテン語で言えるという特技(?)が身につくかもしれない。ともあれ、星々がリアルタイムで〈運行〉し、しかも本物の星のようにチカチカと瞬いているさまは圧巻である。日の出やトワイライトの描画もなかなかいい感じ。  
*星の瞬きは設定パネル(twinkle amount)でモードを変えられる。
**正確な星空を再現するためには、コンピュータの内蔵時計を、インターネットに接続して常に正確な時間に合わせておく必要がある……これってキホンのキ!

 2    ケンジに星座ソフトを!
2004/10/20
●宮沢賢治の《銀河鉄道の夜》……物語のはじめのほうで、ジョヴァンニがケンタウル祭の夜、時計屋の店先で、青いアスパラガスの葉で飾られた星座早見を見て足をとめ、それに引きこまれる場面が描かれている。「ジョヴァンニはわれを忘れてその星座の図に見入りました。それはひる学校で見たあの図(=星図)よりはずうっと小さかったのですが、その日と時間に合わせて盤をまわすと、そのとき出ているそらがそのまま楕円形のなかにめぐってあらわれるようになっており、やはりそのまん中には上から下へかけて銀河がぼうとけむったような帯になって、その下の方ではかすかに爆発して湯げでもあげているように見えるのでした」(新潮文庫版より原文のまま)。星座ソフトは、ステラリウム以外にも有料のものも含め何種類か出ているけれど、どれでもいいから、ぜひとも一本をケンジさまに進呈したいところだ。どんなにか喜ぶことだろう!

 3    名月を取ってくれろと……
2004/10/20
●「名月を取ってくれろと泣く子かな」―― 一茶の句である。宇宙に届きたいとせがむ子供に一茶はどのように対処したのだろう。同風の話が西洋にもある。さる利口な子供に「君は星に手を触れることができるかい?」と尋ねると、「できますとも」と答えて、体をかがめ地面に手を触れたというのである。まるで一休さんみたいな童子。この小咄はホーフマンスタールの覚え書きのなかに記されている。思えば、私たちも、れっきとした宇宙人なのである。
 人類はすでに月世界に到達していて、近頃は火星への接近に関心が向いているようだ。そうはいっても、地球に一番近い月でもまだまだ遠い。おいそれと近づけるものではない。それにしても、コンピュータ画面上の星座や恒星の動きは寸分の狂いもなく、仮想上のことではあるにせよ、誰もが星空を手中にしたも同然だ。無論、千年前の空も千年後の空も……!



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